襖・障子・網戸の張替専門の店舗運営を行う現役金沢屋オーナーに金沢屋を選んだ理由をインタビュー

金沢屋 泉州南・紀ノ川店

大阪府泉南市信達市場
2018年3月 開業

インタビュー時期:2019年5月

前職は、なにをされていたのですか?

20年間ほど、建具やリフォームをしている親方について働いていました。弟子入り……というほどのことではないんですけどね。

前職のリフォーム関連メインのフランチャイズではなく、金沢屋を選んだ理由は?

当時、具体的に独立を考えていたわけではなかったのですが、そろそろ自分でなにかやってみよう!と思い立ち、昨年独立したんですが、はじめの頃は、特にこれと決めていたわけでなくて。フランチャイズって、おっしゃる通りリフォーム系も多いですよね。正直に言うと、色々見ている中で、たまたま金沢屋さんの条件が自分に合っていたといいますか……。

実は、フランチャイズについて調べていて気が付いたんですけど、リフォーム系のフランチャイズよりも、飲食系の方が売り上げの見込みが立ちやすかったんですよね。他にも、インターネット関連のビジネスだと、300万円ぐらいの機材を購入させられて、“そこから先は自分で勝手に営業してくださいね“というスタイルの仕事もあって。でも、そういう機材と権利を買ったら、その先は自分次第……っていうビジネスだと、売り上げの見込みが立てにくいじゃないですか?

そんなビジネスばっかり見ている中で、金沢屋に行きついて、話を聞いてみると「折込チラシで網戸や障子の集客をして、リフォームに繋げることもできますよ」という流れだったので、見込みが立てやすいと思ったんです。集客から営業まで、一連の流れについて具体的なノウハウもあるということでしたし。

独立は初めてのことですから「行く先を想像できること」が、僕にとってはとても重要な条件だったんです。その条件に合っていたのが金沢屋ですね。初期費用などの資金面もそうでしたけど。20年取り組んできた経験も、存分に生かせると感じましたしね。

開業されたのはいつですか? また開業当初に苦労したことは?

開業したのは2018年の3月。2月までは研修を待っている人がいっぱいだ、ということで僕が研修を受けられたのがその時期でした。それで、研修の順番を待って、研修が終わったタイミングでオープンすることにしたんです。

で、3月にオープンとなったんですが、ウチの店舗は最初から2エリア担当しているので、そもそも範囲が広大なんですけど、その広い地域に一度に万遍なくチラシを撒こうと思ったら、難しいのが正直なところ。そこに苦労したといえば、苦労しましたよ。

開業当初は、本部の推奨している「3万部」のチラシを撒いたんですが、それだとエリア全体に行き渡らないんですよね。今は、7~8万部に増やしましたけど、それでもお客様側にとっては「2か月に1度チラシを見る」程度。なので、初期に配った3万部だと足りなかったんでしょうね。反響率が思ったよりも低かったのには困りました。それで、徐々に枚数を増やして、人の目に触れてもらえるようにしたんです。そしたら徐々に引き合いが増えたので、ほっとしたという感じです。

今だって、地域全体にチラシを行きわたらせるために、枚数を今の倍程度に増やさなきゃ……とは思いますが、そうすると結構な量になりますから、体力的にも金銭的にも正直そこまでは出来ずにいます。2名で作業していても、そんなにチラシを撒いちゃうと、仕事がさばききれませんからね(笑)

開業当初の反響率の低さには困りましたけど、電話がかかってくれば、ほぼ受注につながりました。たまに相見積もりで負けることもありますけどね。やっぱり、お客様の方から興味を持って電話をかけてきているので、ほとんどが仕事になります。それは営業手法として、折り込みチラシの良い面だと感じます。

あとは、イレギュラーな案件が多かったのが、少し気になったかな。この仕事の経験が無い方は、困るかもしれませんね。「源氏襖」という真ん中に鏡がはめ込んである襖とか、中抜きの襖や、幅広の網戸もありましたから、そういうのは研修期間で学んだことだと、もしかしたら足りないかもしれません。その襖自体、数が少ないですけどね。

でも、もし分からないことが出てきたら、同期とか他店舗のオーナーさんに質問することもできますし、建具屋さんと仲が良ければ、その方に聞いてもいいと思いますよ。僕も、本当に難しいものは、親方に電話して「こんなのが来たんですけど、どうするのがベストですか?」と聞いたりしています。

技術的に、気を付けていることはありますか?

そこはやっぱり、仕上がり重視ですね。

そうすると丁寧に作業するので、どうしても時間がかかります。あと、ウチは移動距離が長いのと、開業から1年は1人で仕事をしていたこともあって、去年までは12時間ぐらい働いていました。朝から晩までは見積もりと納品で走り回る、夕方5~6時から黙々と作業を始める……そんなスケジュールで。今でもそのぐらい働いたりしますが。仕上がりを重要視すると、どうしても時間が足りなくなることはあります。

今年からは、一人手伝いに来てもらったので、その分楽になりましたよ。僕が外に出ている間も作業を進めてくれますから。

泉州南・紀ノ川店の担当エリアについて、特徴的なことはありますか?

地域性を感じること……この辺りは海沿いなので、海用のステンレスネットがたまに出ますけど、海沿いだからっていうのはその程度で、際立っているわけではありません。

ウチは、この南大阪の泉佐野市から南と、和歌山県の北部、和歌山市、岩出市、紀の川市、かつらぎ町まで包括しているので、移動距離が長いのも特徴かな。端まで行ったら片道50kmくらいあるんですよね。ただ、田舎なので30~40分もあれば着きますけど。

エリアが広いので、ウチでは地域を4つに分けて考えるようにしているんですよ。チラシを撒くときも、4つの地域を2つずつ交互に撒いたりして。そうすれば反響があったとき、なるべく近い家同士で回れるかな……と思ったんですが、それでも問い合わせてくるお宅はバラバラなので、1日200km移動することがありますね(笑)

移動時間が長いということは直接仕事に影響するので、そういう意味では地域性があるのかもしれません。

あと、僕の地元はこの辺なので、昔からの知り合いが多いんです。その方たちから工務店や畳屋さんを紹介してもらえたので、そういう意味では楽でした。それで自然とリフォームの仕事も増えましたから。

開業前の研修は、いかがでしたか?

僕らの頃は、研修を6日間やったら、オープン迎えるという流れだったんです。いきなりチラシをバーンと打って、オープンから3日間は、本部からSV(スーパーバイザー)来てくれて、お客様のお宅に同行して一緒に見積もりをしてくれたり。初めは見積もりの取り方も不安だったので、それはありがたかったです。

最近加盟したオーナーさんからは、今は研修が9日間に増えたと聞いていますけどね。少しずつ変わっているんでしょうね。

今までに、印象深いお客さんはいらっしゃいましたか?

印象深い……そうですね、初めてリフォームをさせてもらったお宅でしょうか。

最初は網戸の仕事で問い合わせが来たのですが、聞いていくと「リフォームをするので、その間に網戸を張り替えておいてほしい」というお話だったんです。網戸10枚ほどでしょうか。それから、「いつリフォームされるんですか?」という話になって、「いやまだ決まってないんだけど……」とおっしゃる。「それならウチでやります!」と。それでそのままリフォームの仕事が決まりました。

リフォームの内容は、和室3部屋の壁を左官でやり替えて、畳の張り替え、そのうち1部屋をフローリングに替えること。そして、柱と壁、天井と天板を全部きれいにするというもの。結構大きなリフォームだったので、当初想定していた売り上げの数百倍になったので、驚きました。それで印象に残っています。

お聞きすると、泉州南・紀ノ川店はリフォームの仕事が多いようですが、意識していることはありますか?

ウチはリフォームの案件が多い方だと思いますけど、ことさら押し出しているわけではないんです。チラシにもリフォームについては何も載せていませんし。リフォームの仕事を頂くときは、全部さっきのような感じで、障子や網戸の話がいつの間にか展開して……ということがほとんど。

ちょっとやっているとすれば、襖・障子・網戸の仕事でお宅にお邪魔した時、最後にリフォームの内容が書いてある名刺をお渡ししているぐらい。「一応保障が付いているので、何かあったら電話して下さいね」、名刺を渡して「他も出来ますので、また言って下さい」って。そうするとコンスタントにリフォームの仕事が来るようになりました。

僕の場合、前職のつながりもありますし、リフォームの仕事を一緒に受けてくれる職人さんとのつながりを作るのは、比較的容易だったと思います。知り合いの工務店も、畳屋さんにも初めから繋がっていましたし。初めはその工務店と畳屋さんの2つだけだったんですけど、その方たちからフリーの大工さんやクロス屋さんを紹介してもらって、今では取引先が15~16社になりました。なので、職人さんとコミュニケーションを取ることは重要だと考えています。

人脈が増えてくると、こちらが発注するのとは逆に、工務店からの仕事を受けることも増えました。去年の9月に大きな台風があったんですが、その被害を受けたお宅の工事がまだまだ多くて……人が足りないので、よくウチも手伝っています。

あとは、不動産屋さんからお仕事を頂くこともありますね。2~3月の引っ越しの時期には、マンションなんかの原状回復の仕事が増えますから。納期や工期の問題があるので、出来るものしか対応できませんが。

1年間を通して、時期的な影響などは感じましたか?

去年の3月に開業して約1年が経ちましたから、それなりに季節的な影響は体験したかもしれませんね。その経験の中からいうと、3~4月は障子、襖が多くて、暖かくなってくる5月になると網戸が増えます。6~7月は、障子、襖、網戸が入り混じっていて、10~12月になるとまた障子と襖の仕事が増えたという印象です。

1~2月は仕事が減ると聞いていたのですが、ウチの場合は12月に捌ききれなかった仕事がたくさんありましたから、1~2月も仕事はありました。むしろ、3月の方が少し減ったくらい。

逆に1~2月の仕事の方が高単価で驚きましたね。もちろん、仕事の件数は12月の方が多いんですけど、1~2月の仕事は、1件あたりで受ける「枚数」が多くて。ピーク期である年末を越えてから依頼してくださる方は、じっくり時間をかけて、良いものを選んだうえで、修理したいのかも知れませんね。

商品をお勧めするときには、どんな風にしていますか?

「お勧めする」というよりは、お客様の求められる商品を臨機応変に提案するようにしています。だんだん僕自身の目が肥えてきているんでしょうけど。現在使用している障子や襖の様子や、ご自宅の雰囲気、子どもやペットがいるかどうか……といった判断もします。でも、無理に勧めることは絶対にありません。「1500円のものを張って」と言われれば、一応、「2~3年しか持ちませんけど大丈夫ですか?」と聞きますが、それ以上のことは言わないようにしています。

例えば、もともと貼られている生地が良いものだったら、それに合わせた良い生地のもののサンプルを実際に触っていただくようにする……といったことはしますよ。そうすると、質の良いものは手触りの違いを分かってもらえますから、「やっぱりこっちが良いね」と言って、上質なものを注文してくださることも多いです。

ただ、扱っている商品は高価なものだけじゃないですよね。金沢屋の商品は、安いものだと1500円ほど。他社と比べてとても安いので、お客さんにとっても敷居が高くないですし、問合せしやすいというのもポイントじゃないでしょうか。

1年間という短期間で軌道に乗せられた秘訣などはありますか?

チラシは裏切らないですね。去年1年通してマイナスになったことはありません。今年もそうですけどね。絶対にありません。

なので、物怖じせずにたくさん打つようにしています。例えば、30~50万円かけてチラシを撒いたとして、回収が20万しかなかったら材料費も含めると大赤字になりますよね? でもこれまでの経験上だと、悪くてもプラス15万くらいにはなっていますから、経営的には大丈夫。集客に関しては、反響が悪ければチラシを増やすようにして対応します。

ウチはそうやって集客していて、1~2月もチラシのコストより売上が下回ることはなかったですからね。あとはリピーターのお客さんも多いので助かっていますよ。1ヶ月に10件は入ってきます。

開業から1年で、リピーターさんからの問い合わせが月10件というのは、多いですね。何か特別なことをしていますか?

いや、特に何もしていません(笑)

意識していたわけではないのですが、僕は一軒一軒のお客様と丁寧にお話しすることを心がけています。お客様と仲良くなって帰ってくることが多いので、それで覚えてくださるのが多いのではないかな?と今は思います。地域的に、人情と言いますか、一度頼むと引き続き利用してくださるというのはあるかもしれません。

とても順調なんですね。では現在の課題はありますか?

順調。そうとも言い切れないですけど……ウチは月に50万円以上、チラシに投資しているので(笑)

課題……というより、今一番困っているのは工房が狭いこと。今の場所だと全然入りきれないんですよね。もっと工房が広かったら、お客様のお宅から一度で回収できるところを、枚数が多いと半分ずつ分けて持って帰ったりすることがあって。移動距離も長いことがありますし、それだと大変で。

ここだって他の店舗に比べたら充分広いのかも知れませんが、僕にとっては不足しているので、空き物件なども見ています。でも、この辺で条件に合う物件ってなかなか出てこないんですよね。

実際に店舗を構えるメリットは何だと思いますか?

やっぱり看板が上がっていると、どんどん地元の人に知れ渡っていくような気がします。そこから受注に繋がるのはとても良いことだと思いますよ。表の看板を見て「クロス出来る?」って、リフォームの電話をかけてきてくださる方も多いですし。

少し気になるのは、突然近所のおじいちゃんが直接店舗に襖を持ってきたり、おばあちゃんが網戸を抱えてきたりすることでしょうか。僕がいる時は良いんですけど、誰もいない時には、「よろしく」って電話番号が書かれたメモと一緒に、そのまま立てかけてあったりとかしますからね(笑) 「誰もいないときは、ここに電話してください」って僕の電話番号を表示してあるんですけど、あんまり見てもらえないみたいです。

直接持ってきてもらうのも気が引けますし、重いと危ないですから気になりますし、お宅に取りに行くのが、金沢屋のひとつのウリでもあるんですけどね(笑)

実際に金沢屋に入っていかがでした?

フランチャイズなので、入る前には抵抗がありました。過酷なんじゃないか、ロイヤリティが高いんじゃないか、色々決まりが厳しいんじゃないか……。知人やネットからも、そういうことを見聞きしていたので、その辺を心配していたんですよね。

ただ、実際にやってみて思うのは、全然ブラックなフランチャイズではないということ。他のフランチャイズがどうかは知りませんが、金沢屋を選んでよかったなとは思います。

ロイヤリティは定額で、高額ではない。そして、なにより縛りがほとんどないので、自分次第でいくらでも工夫できる自由があります。かと言ってポイッと放置されるわけではなく、研修などできっちりと基礎を教えて頂けるので、「いきなり何すればいいのか」と迷うこともありませんからね。

これからの目標を聞かせてください。

まだまだこれからですから、2~3年は金沢屋に集中しようかなと。去年は台風なんかもあって、経営的にも大変な時期がありました。だから、地域の人に知ってもらって、リピーターさんが増えれば経営的にも安定しますから、それを目標にしたい。

長期的な目標は、若い人を育てて、少しずつ仕事を任せていきたいということ。僕自身、長年同じ業種をやってきて独立を果たしたので、ほかの方の独立の手伝いができたらなと思う面はあります。

もしかすると、今後はまったく違うことに挑戦するかもしれませんけど、その辺のことは今はふわっとしか考えてないかな。

長時間お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

店舗詳細

金沢屋 泉州南・紀ノ川店
大阪府泉南市信達市場

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