襖・障子・網戸の張替専門の店舗運営を行う現役金沢屋オーナーに金沢屋を選んだ理由をインタビュー

金沢屋 折尾・黒崎店

福岡県北九州市八幡西区南王子町
2018年2月 開業

インタビュー時期:2019年7月

独立しようと思ったきっかけを教えてください。

前職は20年ほどパン屋さんをしていたんですよ。よくスーパーなんかにある、そこで焼いて売っているパン屋さん。パン屋といってもその会社はサラリーマンと変わらなかったんですよね。大きな会社だったので全国に店舗があって、別の県に転勤することもありました。

実は、そこで働いてすぐ「あ、この仕事定年までやる仕事じゃないな」と思っていたんです。朝早く出勤してパンを焼いて夕方まで。パン屋って現場にずっと出ていなくちゃいけない、体力仕事なんです。そういう働き方を続けていくうちに腰も悪くなっていって、「しんどいな」って思い始めてきました。

ちょうどそのタイミングで、上司との板挟みにあったりして精神的に辛くなってきたので、四六時中辞める事しか考えられなくなって(笑) 「これはもう病気になるな、辞めて地元に帰ってこよう」と思って、地元に帰って来たんです。

地元に帰ってからは、腰も悪かったしデスクワークをしようかと思って、職業訓練校に通ってパソコンの勉強をしました。設計図を作ったり、そんなことですよ。ただ、その仕事だと勉強も大変でしたし、お客様からの感謝の気持ちが直接伝わらないから、やりがいが感じられなくて物足りなくなってきてしまって……パン屋さんの頃は、直接お客様に「美味しかったよ!このパン」と言ってもらえていたので。

そこから、やっぱりお客様と直接関わる仕事が良いなと思っていたら、独立して自分でやっていくのもアリなんじゃないかと思ったんです。

正直、「パン屋を辞めて地元に帰ってくれば、何か仕事あるだろう」という甘い気持ちでやめて帰ってきた部分もあったんです。いざ仕事を探し始めたら、40歳という年齢や条件が合わなくて、なかなか希望に合うような仕事はありませんでした。その現実にちょっとびっくりしましたね。だったら、独立したほうが楽しめると思って、独立を決心しました。

独立するにも様々な選択肢があったと思いますが、金沢屋を選んだのはなぜですか?

独立支援系の雑誌を見ると、コンビニだったりいろいろな仕事があったんですが、良さそうだなと思えたのが「金沢屋」と、ハウスクリーニング系のフランチャイズ。それで、その2つの説明会に参加しました。

ハウスクリーニング系のフランチャイズは、もともとその仕事をしたことがあるという人が周囲に何人かいたので、その人にも話を聞いたら「結果が出ないからやめた方が良いよ。それだったら、金沢屋の方がやりがいもあるし、絶対良いと思うよ」って言われて(笑) そういう、周囲の助言があったことも大きかったです。

あと、金沢屋の仕事ってお客様と直接の関わりがあるじゃないですか。それで「よし、やろう」と決めたんです。

金沢屋の説明会の印象はいかがでしたか?

説明会ってそんなに悪いことは話さないですよね?(笑) 自分は常にポジティブなので、素直に全部受け取って、「良いじゃん!」って思いましたね。

ハウスクリーニングの説明会とは違って、1対1でじっくり話をしてくれたのが印象的でした。実際に配っているチラシを何パターンか出してきて、どのチラシの反応が良いかを教えてくれたり。その時は、裏面が視力検査のチラシを見せてくれたんですけど、「あ、確かにこれだったら捨てないな」と思いました。これなら宣伝も長く続けられるし。

あと、担当者の方が、自分には考えられないようなことをどんどん提案してくれたので、「それだけしっかりしているなら大丈夫だな」とは思いました。

2017年の年末……27日頃に説明会に行ったのですが、すぐに決心して、2日後くらいには加盟の手続きをしていましたね。周りからは「そんなに契約を急かされて、騙されてるんじゃないの?」と言われましたけど、「でも俺はもう決めた」って言って(笑) 即決でした。

開業してからは、どうでしたか?

年末(2017年12月)に加盟して、翌年の2018年2月20日に開業したので、2ヶ月ぐらいですよね。おそらく最速じゃないでしょうか?

なんでそんなに早かったかっていうと、当時は無職の状態だったので、1日でも早く仕事を始めたかったんですよ。研修の枠が結構埋まっていて、たまたま1月の終わりに1名空きがあったんです。年内に契約すればその枠に入れるという話だったので、バタバタで契約して(笑) 予定通り1月に研修を受けて、2月に開業……という感じですね。

1~2月って、比較的仕事が少ないと言われる時期なんですけど、開業直後に3万枚チラシを撒いて初日に5件電話が来ました。最初は、本当に電話が鳴るかどうかわからないので、1本鳴った時点で浮かれていましたね(笑) 営業時間の9時ピッタリにいきなり鳴ったので、「これはすごいぞ……」と思っていたら、いきなり5件ですよ(笑)

反響について一応話は聞いていましたけど、正直よく分かってなかったので「5件きたから良いんじゃない?」とその時は思っていましたね。でも、その後は時期的なものもあってそんなにたくさんは来ませんでしたね。だからチラシを撒き続けました。

チラシはどのぐらい撒いたんですか?

どういう風に戦略的にチラシを撒いていくか? というビジョンや方向性が明確に無かったので、オープン初日に3万枚、次の週に1万枚、さらに次の週に3万枚、というように撒きましたね。まずやってみようという感じです(笑)

それで、反響が良くなかった2月、3月は収益が安定しなかったですけど、4月から利益はずっと出ていますよ。4月くらいからは本気出して、4~5月は元気出ていますね(笑) そもそも、オープンが2月20日ですから、2月は1週間しか稼働してませんしね。

実は、以前の仕事よりも収入は下がっているんですけど、あんまり焦っていないんですよね(笑) もちろん、前の収入よりも良くなることを目標に挙げていますけど。なんか自分自身が自由っていうんでしょうか。ちょっと売上が少ないとか、チラシを撒いて反響が無くても「まぁそんな時もあるか」って。反応が悪くても、種を撒いているくらいにしか思っていないので。資金繰りが大変だということもないですしね。

集客面で工夫していることはありますか?

チラシを「撒き続けること」は、意識していますね。撒いても撒いても反応が無かったら、へこんじゃうと思うんですよ。でも私は、当たりハズレじゃないけど、やっぱりタイミングがあると思うんです。お客様が「張り替えしようかな」という時にチラシを撒いておけば、依頼が来るんでしょうし。チラシを取っておく人もいますし、様々ですよね。

タイミングを逃さないためには、やっぱりチラシをたくさん撒いておかないと。お客様が目にしてくれる機会が多くないと、注文が来ないと思っているんです。チラシを減らせば、その分「依頼する」お客様に当たる確率も減りますから、どんどん撒いています。

今の時期だと、“網戸1枚だけ”というお客様もいますけど、そういうお客様が、そのうち5人、10人と増えていった時、いつか10万円を超えるような張り替えをしてほしいというお客様も現れると思ってるんです。そういうタイミングが絶対あると思って、撒き続けているんですよね。

デザインでいうと、チラシに自分の顔写真を入れて、「どういう人が来るのか」を事前に見せることで、安心してもらうようにしたり……。最初のころは、裏面が視力検査のチラシを使って、取っておいてもらえるようにしていました。今はメニュー表を入れたり、プチリフォームの案内を入れたり、少し幅を広げてお客様にアピールしているのがこだわりですね。

ポスティングもたまにやりますけど、本当に気が向いた時ぐらいかな。基本的には折り込みチラシがメインなので、ポスティングで300枚撒いたとしても「よっしゃ!お客様来るぞ!」って構える事は無いですもんね。半分自己満足と思っています。ちょっと散歩がてら……みたいな。

実際の現場に出てみて、苦労されたことはありますか?

いつも苦労していますけど……それは冗談ですけどね(笑) 最初の頃はそれなりに。でもそんなに苦労と思ってないかもしれませんね。でも、もちろん研修で基礎は学びますけど、やっぱり現場に出ると全然違いましたよ。

お客様の物を預かる緊張感もありますし、網戸は特に、研修だけでは網羅しきれないくらい本当にたくさんの種類がありますから。メーカーによってサイズが違ったり、外し方も違いますしね。なので、本当にやりながら覚えることもたくさんありました。研修で受けた基礎知識があった上で、調べるから分かるようになると思いますけどね。

ただ、分からないことがあっても、本部に聞いたり、自分で調べれば大体答えは出てきますし。「出来なかったことを、出来るようになるためにどうするか、考えなきゃいけない」というのが、苦労だといえば苦労になるのかなあ? わからないですけど(笑)

技術面や営業面で気を付けていることはありますか?

綺麗に張るというのはもちろんだけど、やっぱりスピードですかね。スピードを速めるコツも、失敗しながら学んでいくんですけど。

例えば、襖だと紙を濡らすんですが、紙によって含ませる水分の量を変えた方が良いこともあるんです。素材によってそれぞれのさじ加減があって、それによってスピードが大分変わると思います。日々勉強ですよね。

営業面でいうと、やっていくうちに知識が増えていくので、その分説明が上手になってきているかな……とも思いますよ。今までは「3000円の紙でいい」と言っていたお客様が、きちんと商品の特徴などを説明をすることで4000円や5000円の紙を選んでくださるようになったりとか。自然とそうなってきているんだと思います。1年目と2年目の違いはそこなんですよね。お客様に、良いものを提供できるようになってきたというところだと思います。

例えば、見本帳を出して「こういうのもありますよ~」って。お客様の方から「これはどういう素材?」とかって質問があると、「これは糸入りで……」って話になりますよね。安い素材だとしわくちゃになったりしますから、それも見てもらったりして。良いものを見ちゃうと、一番安いのは選びたくなくなるので、「一番高いのはちょっとアレだけど、その真ん中くらいのにしようか」っていう流れが多いですね。

ただ、はなから値段で来ている人もやっぱりいます。「一番安いので良いよ」って。そういう時には、すぐ破れることやシワがつくことを初めからお伝えしますけどね。それでも良いっていうのであれば、すぐ見積もり出しちゃいます。特に若い人だと、そうなりますかね。

私は、お客様の所にいる滞在時間が短いんですよ。お客様と仲良くなれば、仕事も増えるんでしょうけど、忙しい時はやっぱり予定を詰めてしまうので、話し込んでいるうちに「あぁ、次行かないと」ってなっちゃいます。

でもね、他のエリアに比べたら移動時間は短い方だと思いますよ。ここの場所って、受け持っているエリアの中心部近くなので、一番端までいくのに20分ぐらい。オーナーさんによっては、移動だけで片道1時間かかるっていうじゃないですか。大変だなぁと思います。

現在2年目ですが、お客様の反響は以前と比べて、違いを感じますか?

感覚的にですけど、反響は若干上がっているなと感じますね。チラシも、「前も入っていたよね」と言ってくださるお客様が増えました。

私は地域をいくつかに分けてチラシを撒いているんですね。例えば1という所に撒いていて、それで2、3、4と撒いていくかんじ。で、もう一回1に戻ってきた頃に、その1のお客様から電話があって「前入っていて頼もうかなと迷っていたけどチラシ無くしちゃって。もう辞めたのかなと思っていたけど、また入ったから電話した」というお客様がいたりします。だから、やっぱり撒き続けていたから電話がかかってくるのかなと。最初の1年目は見る機会が少ないから頭にも入っていないというのもあると思いますね。

あと、チラシにリフォームの話も少し触れているので、小さいリフォームの仕事も来るようになりました。「雨樋がちょっと壊れているから見てくれないか」とか、「ドアノブを交換してくれないか」とか。家の困りごとを相談してくれるお客様からは、小さなクロス貼りなども多少お仕事を頂いたりしています。でも基本はやっぱり襖・網戸・障子の「張り替え」の仕事。私の場合は、これがないと逆に厳しいと思います。

リピーターについては、同じお客様ではないですけど、その方の紹介だったり、その娘さんだったり、そういった周辺の方を紹介してくれるお客様は増えていますね。

リフォームの仕事が増えた場合に備えて、業者さん探しなどは考えていますか?

業者さんは基本何でも知っているといいますか。友達が土木の仕事をしていて、その友達がすごく顔が広いんですよね。もちろん自分で見つけた業者さんもいますし。

電気屋さんだけでも友達経由と自分経由でツテがあるので、こっちの電気屋に見積もりをしてもらってちょっと高いなと思ったらこっちにまた聞いてみて……っていうように、1件のお客様について2つ見積もりを出してもらうこともあります。やっているうちに、自然と繋がりが増えてきたように思いますね。

まぁ、突然訪問して無視されたこともありますよ(笑) その時は、違う会社に行って畳をお願いしたんですけど、よく調べてみたらちょっと割高な会社だったりして。だから、業者さんを選ぶにしても、複数知っておかないと厳しいと思うんですよね。こちらの知識不足で、利益が上下することがありますから。水道屋でも、2つぐらいは知っておかないと、評価ができませんから。

なので、全く業者を知らないという人は、頑張って探すしかないですね(笑) 1軒知れば、そのつながりで他の業者も見つかると思いますしね。

前職と比べて収入面や生活面での変化はありましたか?

現時点は年間で考えると収入は減っていますよ。ただ資金繰りに困っているわけでもないですし、まだ2年程度ですから焦ってませんよ。なにより、精神的にとても楽になりました。時間に縛られないし、自由が利く。やりたい事も出来るというか……遊びたかったら、そこに仕事を入れなければいいので(笑)

もちろん、反響がたくさんあって、朝から晩までずっと仕事をしなきゃいけない日もあるんですけど、そこは別に。「あ、俺今稼いでる!」って思えるので、苦労しているとは全然思わないんですよね。

ただ、自営業はなんでも自分次第なので、もし病気になって休んだらその分収入に直結しますよね。だから体は気にしてるかな。

この地域で競合などはいるんでしょうか?

いっぱいありますよ。大きなところで地域も幅広くやっている会社とか。24時間体制で施工しているような会社もあるんですけど、金沢屋以外にも4社くらいは、この辺りにチラシが入りますね。

お客様から他社のチラシを見せてもらったりするんですけど、「ここも入っているんだけど、アンタの所のチラシが白黒で一番金かけて無さそうだったから頼んだ」って言われたこともありました(笑) そういうところもお客様は見ているんだなぁ、と勉強になりますね。

あとは、ウチはリフォームもやりますよと書いていますけど、昔からやっている個人の表具店などはチラシを打っていないので、地域密着という意味だと競合はいないんじゃないかな?

不思議なんですけど、2年目になってなぜか、車で2~3分の本当に近いご近所さんから依頼をいただいたりするようになりました。今までは、5~10分ぐらいのちょっと行ったところだったんですけどね。どういう傾向かはわからないですけど。「長い事やっているからちょっと頼んでみようか」みたいな事があるのかも知れません。

お客様の地域性などを感じることはありますか?

私の担当している地域の北九州は、どっちかというとせっかちな人が多いんですよ(笑) 普段話す相手がいなくて誰かと話したいと思っている方には、なるべく話を聞いたりするんですけど、基本的に年配の男性はせっかちな方が多くて。見積もりも、「あ~それで良いんじゃないか? はい、はい、これで決まり」とか(笑) それでもう喋る事が無いから、宜しくお願い致しますって終わってしまいます。

見積もりの問い合わせ電話がきたら、契約にならない事ってほぼ無いですね。もちろん、質問があって電話してきた人だと、仕事にならないこともありますけど。お客様から電話する時点で、ちょっと勇気を振り絞って電話をしてきているので、99%頼んでくれるんですよ。

あと、この周辺に市営とか県営のアパートがあるんですけど、そこからの依頼も多いですね。

今後の目標をお聞かせください。

一番近い目標は、作業場をもうちょっと広いところに変えたいなということですかね。50枚くらいになると、今の場所だとスペース的に厳しいので(笑) 前職の収入より良くなることも目標には掲げていますけど、自分自身はあんまり焦ってないんですよ(笑)

あとはもっと利益が出てきたら従業員を雇って、2~3人でもっと規模を大きくして、ゆくゆくは従業員に作業はお任せして私は経営に専念できたらいいなと思っています。金沢屋の仕事は、ここ5~10年無くなることはないと思いますし。

あとは、「なるようになる」と思う事ですかね。反響が悪くても、安い商品しか出ない時でも「まぁなるようになる」と。それで落ち込んだりせずに、絶対良いお客様が来たり、チラシを撒いて反響が良い時も絶対あるから、ずっと続ければいいかなと思っています。仕事していれば色々ありますから、いちいち「今日も駄目だ……」と落ち込んでいたら多分続けられません。

最後に金沢屋に入られていかがでしたか?

ざっくりかもしれませんけど、良かったですよ。やっぱり、お客様に直接関われて、感謝されますから。「こんな事だったら早く頼んでおけば良かった!」って仰っていただけるのは、本当に嬉しいです。

本当にやりがいはあるし、自分が頑張った分だけ給料に跳ね返ってくるし。楽しいと思いますけどね。

長時間お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

店舗詳細

金沢屋 折尾・黒崎店
福岡県北九州市八幡西区南王子町

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