襖・障子・網戸の張替専門の店舗運営を行う現役金沢屋オーナーに金沢屋を選んだ理由をインタビュー

金沢屋 北和店

奈良県生駒市壱分町
2018年4月 開業

インタビュー時期:2019年5月

金沢屋を始める前は、何の仕事をしていたのでしょうか。

産業廃棄物、一般廃棄物の回収をする会社の役員でした。先代の頃から仕えていましたが、二代目が立派になってきて、周囲のブレインも若くなってきたので、もうボチボチ大番頭も必要ないだろう……と退職を考え始めました。もともと、70歳の定年退職まで会社に居続けるつもりもありませんでしたしね。それで、その会社を早期退職することにしたんです。

退職を考え始めてから、実際に辞めるまでには3年かかりましたね。社長と正式に話をしてからは約1年。手持ちの仕事を問題なく若手に引き継げるように、全部文書やマニュアルにして、必要があれば担当者に引き合わせて。

ちなみに、辞めてから全く違う仕事を始めたので、社員はびっくりしています(笑) 「副社長(私)が、突然張り替えの仕事を始めたぞ!」って。普段も、軽トラで道を走っていると、元社員とすれ違ったりして。彼らとは、お互いに車の中から手を振り合う仲。私がこの仕事をしていると、役員というより「現場の人」という感じが出て、親近感が湧くんでしょうね。今の方が、若い世代とも肩肘張らずに話せますから。

多くのフランチャイズの中から、金沢屋に決めた理由は?

昔から職人に憧れていて、いつかはそんな仕事を……と考えることもありましたけど、63~4の年齢になって、今さら弟子入りさせてくれるものでもないじゃないですか?なので、具体的にどうこうとは考えてなかったんです。

でも、金沢屋のチラシを見て興味を持ったので、家内と一緒に話を聞きに行ったら、本部の方がすごく誠実に対応してくださって。家内も、「人柄が良いじゃない。ああいう人がいる本部だったら、色んな面でサポートしてくれるんじゃないの?」と背中を押してくれたので、早期退職して金沢屋の仕事を始めることにしました。

私自身、人より手先が器用だろうな、という自負もありましたしね(笑)

開業されたのはいつですか?

2017年の3月に説明を聞きに行って、それから約10か月後に研修に行って、その2か月後にオープンしました。説明を聞いてからは約1年経っていることになりますね。

研修を受け終わったらすぐにでも開業したかったんですけど、工房の工事が遅れていたので翌々月の4月になりました。

実はこの工房、知り合いの大工さんにお願いして工事してもらったものなんです。手が空いている時間に少しずつ工事をしてくれて。「適当にやってくれたらいいから」って言っておいたんですけど、棚とか作業台まで手作りしてくれました。この作業台も、私は背が低いから、それに合わせて高さを調節してくれて。ありがたいですよね。

60代だと、金沢屋のオーナーの中では年齢が高いですよね。不安はありませんでしたか?

来月で65歳になりますが、私でもやれるんだから、定年退職して金沢屋を始めるようなオーナーさんがもっと増えてもいいと思います。70代からでも大丈夫だと思いますよ、やる気のある人だったら。

周りからは「いいオジサンが、何を今さら一人でやるんだ」って、しばらく笑われましたけどね(笑) 私は多趣味なんですけど、「退職して趣味だけやって終わりたくない」「60、70歳で老けたくない」「趣味を活かしながら自分でいろんなことをやりたい」という冒険心・挑戦心が強くて。

「定年退職は終着駅じゃないんだ。私にとっては出発駅なんだ!」と思ってね。

でも、時間が限られている研修の間は、もう本当に苦労の連続で……。今でも勉強、勉強ですけどね。いろんな方に教えていただきながら、必死で仕事を覚えました。本当、お宅によって襖や障子の状態は全然違いますから。でもそうやって、やる気があれば年齢がいってても、頑張れると思うんですよ。

サラリーマン時代はなんにもしてなくてもお給料がもらえたので、楽だったかもなあと思いますけどね。駅でダラダラしていたって、お金はもらえます。でも今は、自分で全部やらなくちゃいけない。チラシ代だってそう。鉛筆1本、消しゴム1個だって自分で稼がなくちゃいけませんよね。そういう試行錯誤も含めたことが、オーナーになるっていうことなんでしょうね。

開業して、初めて撒いたチラシの反響はいかがでしたか?

初めてチラシを撒いたのは4月17日。反響は良かったですよ。お問い合わせがあった分は、ほとんどが仕事につながりました。今でもそうですけどね。例えば今月だと受注率100%です。

生駒の場合はお客様のほとんどがお年寄。今は世間一般的にもお年寄りが多いじゃないですか?私の狙いもそこで、お年寄りが多いと、和室の需要があるんじゃないかと思ったんですよね。

生駒市は大阪のベッドタウンで高級住宅地なんですよ。財政が黒字の町で、ご高齢で裕福な方が多い土地。5~6年前からは高齢者を支援する補助金制度ができたんですけど、それは奈良県内でも生駒市と樫原市の2市しかやっていません。それぐらい裕福な土地なんですよ。そういう補助金のご案内もしながら、お宅を快適になるように修理しませんか? というお話をすることが多いです。補助金の存在を知らない人もたくさんいますからね。

では、リフォームなども積極的に提案しているのでしょうか。

ポスティングをやっていた時期も、同時並行で折り込みチラシを1万部ぐらい配布していましたよ。あくまでも折り込みチラシがメインで、ポスティングがプラスアルファといった感じです。

割とそうですね。研修の時にも「お客様にどうご提案するかは、皆さん次第ですよ」と教わったので、私は御用聞きではなくて、ある程度のご提案をするようにしています。

いったんお家に上がらせてもらったら、頭の中でイメージするんです。「このお客さんは、足が悪そうだな……ここに手すりがあったら、楽になるだろうな。」って。それぞれのお客様にあわせて、どんなお部屋が快適なのかなと考えるようにしますね。はじめは襖や障子でお邪魔しますけど、帰り際には、「網戸と襖と障子だけじゃないですよ。私はなんでもやっていますよ」ってお伝えしますし。今はまだ、クロスや畳の張替えといったプチリフォームがほとんどで、大きな案件は取れていないんですけどね。

畳に関しては結構頻繁に仕事があるんです。生駒市には畳屋さんが1軒しかなくて、そこの職人さんもご高齢だし、お一人で仕事をしているので、私のような機動力が無いみたいなんですよね。昔からの職人さんなので、値段もあちらの方が高いですし。

お客さんの所へお見積りに伺った際など、「ちょっと畳がへたってきていますね」とお声がけすると「あなた畳もやってるの?」となって、今月もそんな流れで4件ほど畳の依頼を頂きました。他には、手すりなどの話もありましたし。最終的には、もっと大掛かりなリフォームを任せて頂けるようになりたいですね。

オーナー同士のLINEグループがあると聞きましたが活用されてますか?

はい、「チーム金沢屋」とかですね。すごいと思いますよ。いろんな事で助けていただいています。私じゃないですけど、以前別のオーナーさんが「勝手口の網戸の外し方が、今までと違ってやりにくい」とLINEでつぶやいたら、あちこちのオーナーさんから返信がありましたし、電話をくれた方もいたと聞きました。

逆に、こちらの知識を分けることもありましたよ。数か月前に、「一般廃棄物のことで困った」というLINEが来たので、その方に電話したこともありました。200店舗以上ある金沢屋の中で、一般廃棄物、産業廃棄物経験者は私くらいのものだろうから……(笑) そうやって、自分の知識が活かされると嬉しいですよね。

技術面で工夫されていることや、気を付けていることはありますか?

何をおいても、ひとつひとつ丁寧に対応させてもらうこと……です。張る作業ひとつとっても、おろそかにしてしまうと次が来ませんから。「綺麗に張ってくれてるね」と認めてもらえれば、半年先、3ヶ月先に、何かで呼んでいただけるんじゃないかなと思っています。

実は、今後ろに立てかけてあるこの障子も、もともとは全然関係が無かった賃貸の不動産屋さんに、一昨日お電話いただいたものなんですよ。「あなたの噂を聞いたから、ちょっと来てよ」と呼ばれて、受注したものです。聞いてみると、その不動産屋の社長の甥っ子さんや弟さんが、私のことを紹介してくれたらしいんですよね。噂を聞いてお電話いただけるのは、ありがたいことですし、ここ1年で少しずつ「金沢屋」として周辺に知られてきているような感じがします。

こんなことがあるとはいえ、始めて日が浅いし、まだまだです。だからこそ、ひとつひとつのご縁を大切にすることを意識しています。

ご縁を大切にしているとのことですが、リピーターさんは増えましたか?

ちょっとずつですが来るようになってきました。2、3日前にも「波板(屋根に貼ってある建材)が飛びそうだから修理して」と依頼が来ましたし、障子や襖を修理したお客様から「あんたを知っておけば何でも手配してくれる」といって、プチリフォームの依頼をくれる方が増えていますね。

2~3か月前、印象深かったことがあって。障子と襖でお付き合いしたお客様から、突然夜の8時に電話がかかってきて「おじいちゃんがお風呂場で転んで、ドアを破っちゃった!」って言うんですよ。それを聞いて、翌朝7時に飛んで行ったんです。おじいちゃんはその晩に病院に行って、大したことはなかったようですけど、お風呂のガラスが割れてしまっていて……。そのままガラスのドアを外して、知り合いのサッシ屋さんに「割れないガラスに交換してくれ」とお願いしてきました。

おじいさんが転んじゃった時、おばあさんもアタフタしたと思うんですよ。そういう緊急時に、私の名前を思い出してくれて、電話して相談してくれて……ありがたいですよね。

今回のガラスみたいに業者さんを仲介することになると、自分自身で作業するよりも大変なこともありますけど、名前を憶えていてくれて、困ったときに一番に呼んでくれるのは嬉しいことです。だから「ありがとうございます!!」って飛んで行きました(笑)

普段、お客様の対応で意識していることはありますか?

ご自宅に伺う仕事なので、言われたことだけを聞いて帰るんじゃなくて、何か気が付いたことがあれば伝えるようにはしています。例えば、「障子が黄色くなってきていますよ、破けているわけではないですけど……」って。ヒントをポンと出すような感じで。

日常生活ってそうじゃないですか?今まで気になったこともないけど、ほころびが出ていることってありますよね。そんな風に、何か気が付くヒントを出しておけば、ふとしたとき……例えば来客の予定ができたときなんかに、「障子が黄色いな、お客様の前で恥ずかしいな」って思ったら、お電話いただけますよね。

チラシも色々と工夫していますよ。ウチの地域で折込チラシが少ない曜日が、火、水、木曜日なので、その曜日に撒くようにしたり。日曜だと他のチラシに紛れてしまうから。あと、チラシにウチの飼い犬の写真を入れて「お電話待ってるワン!」って吹き出しを付けたりしました(笑) これが結構反応あるんですよ(笑)

よくお客さんに指摘されるんですけど、ウチの地域の場合は、チラシには自分の写真を載せた方が良いみたいですね。お客さんの所に行ったら「あんた、この(チラシの)お兄ちゃんと違う人じゃない」って言われることが多いんですよね。自分の顔写真を載せた方が、地元に密着している感じが出るみたいです。

あとは、最近はインターネットでの集客も始めましたよ。でもインターネット経由の問い合わせは、期待しているほどは来ないので、今はまだ力を入れる気持ちになれないんですけど……。でも今は、60、70代の方だって、ほとんど自宅にパソコンがありますからね。時代に合わせて集客方法も広げていくつもりです。

普段はどのようなスケジュールで働いているのでしょうか。

朝5時に起きて、飼い犬の散歩をして、朝8時には金沢屋を開けています。夜は8時まで働いていることが多いですね。普通のオーナーさんだと、9~10時に開店する方が多いと思うんですけど、この地域はお年寄りが多くて朝が早いので、8時開店はこの街のライフスタイルに合ってるんじゃないかな。

昨日も「8時45分には孫を送っていくから、朝8時半に来て」とのことだったので8時ちょうどに行ったら「8時ちょうどは早いわ!」って言われちゃいました(笑)

休みは……日曜、祭日関係なしで毎日働いていますね。開業してからというもの、休みがまったくなくて(笑)

あんまり働いているもんだから、近所の知らない奥様に「あんたいい加減にしなさい!休んでないでしょ!土曜も日曜も車があるし、夜遅くまで電気がついている。体を壊すよ!」って叱られまして(笑)急になんで?と思ったので、「迷惑でしたか? 夜遅くまですみません」と言ったら、「いやいや、そうじゃなくて、あんたの体のことを心配してる」って……。涙が出るほどうれしかった。ご近所さん、よく見てくれているんだなぁって。

忙しくなる時期の12月なんかは、朝8時~夜8時では全く追いつきませんでした。でもね、あんまり長く働きすぎると集中力がなくなってミスが増えちゃうので、なるべく12時間きっかりで仕事を終えるように意識しています。

でもね、会社員時代に比べると本当に時間関係なく、よく働いてますよ(笑) 電話がかかってきたらいつでも取りますし。おかげで趣味の家庭菜園まで手が回らないんです。だれか、庭をいじりの仕事を依頼してくれたらいいんですけどね(笑)

すごくパワフルに活動されていますよね。どうしてそんなに体力があるんですか?

楽しいのもありますし、意地と言いますか……それもおかしいですかね(笑)? なるべく長く働きたいので、極力エアコンをつけないで仕事をしたりして、気を付けていますけどね。

でも、こうして楽しい気持ちでお客様のお宅に行って、1対1でお話しさせてもらって、息子さんや娘さんの愚痴を聞きながら、たまに聞き流しながらやっていて、毎日楽しいんですよね(笑) 

実は、私はリウマチを患っていて、一時はパソコンすら触れないくらい悪化したこともあったんです。当時は、車の運転をするにも、どちらか痛みの少ない方の手を使って、片手で運転しなくてもいけないほどでした。それが、いいお医者さんと出会って、少しずつ回復して、今では障子や襖を持ち上げたり、作業できるぐらい回復しています。そんな時期を経験しているので、「動けるうちに、やりたいことを沢山やりたい!」という気持ちが強いんでしょうね。

今だって注射を打ちながら働いていますから、金沢屋を何年続けられるのかは、正直分かりません。人間はいつか止まってしまいますから、止まるまでは動き続けたいなと思っています。

前職とはまったく別業種への転職ですが、特に違うと感じる点はありますか?

営業スタイルが全然違いますね。以前の仕事は、日本全国を飛び回って法人を相手に交渉事などをしていたのですが、今の仕事は一般家庭に直接お伺いしますよね。 法人と、個人のお客さんでは、接し方もアプローチも全く違うので日々反省しています。

法人相手だと、ある程度こちらも強気に出ることが大事だったりすることもあったんですよ。でも、個人のお客さんだとそうはいきません。もっと細やかに会話をして、お客さんを知るところから始まります。その方のニーズを探りながら、それぞれに合ったご提案をしなくちゃいけない。その点が大きく変わりましたね。会話をするのは好きなので毎日楽しんではいますが、昔の癖が完全には抜けなくて苦労している面もあります。

今後の課題があれば、教えてください。

まあ、この年齢だから、30~40代で独立したオーナーさんとは違って、そう何十年も続けられないですよね。さっきも言いましたように、リウマチでもありますし。だけど、体が動く限り、皆さんが呼んでくださる限りは、仕事をやっていきたいな。

家内が、夜になったら「お父さん疲れているよね。早く寝なさい」「お風呂早く沸かしているから、早く入っておいで」と言ってくれて、すごく気遣ってくれるんですよね。家内も勤めていて忙しいはずなのに、仕事が終わって6時には工房に様子を見に来て、ご飯を炊いてくれるんです。家内がサポートしてくれている間は、私も走り続けていきたいですね。

技術的にも目標があって、ある程度やり始めたからには技術を習得して、若手に教えられるくらいになっていけば良いなって思っているんです。家内の叔父が琴職人なんですけど、宮内庁に納めるほどの腕前の職人で。せっかく始めたなら、それぐらいの技術がある人達を目指そうと思っていますね。

長期的な将来については……私には子どもがいないので、明確に後継ぎを意識しているわけではないんですけど、いずれは誰かにバトンタッチできたら良いなとも思っています。この辺りで、金沢屋をやりたいという若い人がいれば、それまでにしっかり開拓して、商売の下地を作っておいてあげたいですね。

長時間お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

店舗詳細

金沢屋 北和店
奈良県生駒市壱分町

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