襖・障子・網戸の張替専門の店舗運営を行う現役金沢屋オーナーに金沢屋を選んだ理由をインタビュー

金沢屋 仙台北店

宮城県仙台市泉区
2018年5月 開業

インタビュー時期:2019年3月

金沢屋のお仕事をされる前は何をやっていらっしゃったのでしょうか?

18歳から飲食店一筋で、雇われ店長をしていたのですが、そこを辞めることになって、去年の5月に金沢屋で開業しました。
なのでまだ1年経っていないですね。
きっかけは叔父が金沢屋をやっていたことです
そもそも飲食店を辞めようと思ったのが、妻の妊娠なんですが、飲食店の仕事って、どう立ち回っても家庭を犠牲にするしかないんですよ。相当良い会社だったらないかもしれないですが、仙台の中小企業の飲食店は1日15~16時間勤務が当たり前。子どもができても、家庭がおろそかになるのは100%間違いありません。それがどうしても嫌で。子どもができた以上、家族の時間は大事にしていきたいという価値観がずっとありましたから
まもなく30歳になりますし、まったく違う業界に飛び込むならココがチャンスだろうなと考えました。

それで、次の仕事はどうしようかと思っている時に、叔父から声をかけてもらったんです。
あと、サラリーマン時代の叔父に比べて、金沢屋をやっているときの方がすごく生き生きして見えたんです。そういう姿を見ていましたし、自宅兼職場なので、時間の融通が利いて、家族との時間もとれます。一番の理由はやっぱりそこですね。

叔父がやっていたので、ビジネスモデルは知っていましたし、家族の面倒が見られて、職人仕事なので手に職がつく。
今は高齢化も進んでいますし、本部に行って話を聴いたりしましたけど、いま需要が伸びていて、間違いないビジネスだろうな……というのは確認したので、ほぼ迷いなく、二つ返事で「やる」と言いましたね。

出だしの実績はいかがでしたか。

実は、本部から新人賞をもらったのですが……なので、まぁ出だしは恵まれていたのかな?
初年度にしては頑張れた方かなと……(笑
というのは、「こういう時はこうしなさいよ」と、叔父が持っているノウハウを惜しまずに教えてくれますし、いろんなリフォームができる職人さんたちを、叔父から直接紹介してもらえるからですね。それが一番の成功要因だと思っています
そういう点ではゼロから開業された他のオーナー達に比べれば、多分恵まれている環境だろうなと思います。
そこで上手くいかなければ、言ってしまえば成功しないビジネスですから。

リフォームの割合が大きいんですね。襖(ふすま)・障子・網戸の、仕事量の割合は、全体のどれくらいですか?

オーナーのやり方で全然変わります。
例えば今みたいな時期は、どちらかというとリフォームの方が多くなってきます。
逆に、年末とか張り替えの需要が多い時期は、8:2くらいで張り替えの方が多くなります。
年間にならすと、感覚では6:4くらいで張り替えをやっているような気がします。

襖や障子の依頼を受けて、そのあとセットでリフォームを受注する割合ってどれぐらいですか?

そういう話に発展したら、「じゃあ詳しく測っていきますので今度見積もり作ったら持ってきますよ」という所まではほぼ行きます
だけど、お客さんも予算がありますから、それが実際に受注に繋がるかというと……感覚的には、10件のうち3~4件取れれば良いくらいですね。
でも、僕の場合は、チラシにリフォームのことも書いているので、最初の電話がリフォームの問い合わせということも多いです。そういうお客さんには、最初からそのつもりで行きますよ。
金沢屋の一番のモデルは、襖とかから入って、仲良くなるうちにリフォームも受注する、というものなんでしょうけどね。

ちなみに、どういうチラシなんですか?

ちょうどここに、全国の金沢屋のチラシをもらって、張り付けてあります。表はこういうかんじで、襖・障子・網戸・畳なんかの事を書いてありますけど、裏をめくるとこういった形で、こういうのも大体やりますよって。

すごいオーナーさんだと、「デザインリフォームはいかがですか?」と載せて、金沢屋はあらゆるリフォームを扱っています!という風に書いています。「金沢屋は、リフォームめちゃくちゃやっていますよ」というメッセージを載せるんですね。そうすると、最初からリフォーム目的のお客さんが集まってきますし。

そうじゃないオーナーさんは、表面にも裏面にも、襖・障子・網戸、あと畳のことを載せているみたいですね。こういう人達はおそらく張り替えだけで頑張っていきたいということなんだと思います。

リフォーム専門の会社もありますよね。それなのに、どうして金沢屋に頼もうと思ってくれるのでしょうか。タイミングですか?

……難しいですね(笑) おそらく、お客さんって相見積もりを取るのが面倒くさいんですよ。一発で良い業者さんが見つかればそれに越した事はもちろんないわけで
ただ、金沢屋の強みというとやっぱりココですよ。「地元密着で近くの職人」。全国で手広くやっている大手のリフォーム会社じゃなくて、地元に住んでいる職人達で構成されている「地元職人による地元の方のための……」と打ち出すと、特に年配の方からは、信頼してもらえます。

近くて安心、何かあったらすぐに来てくれる地元の職人さんに頼みたい……という思いが、年配の方になればなるほどあるんですよね。
我々のターゲットはそこなので。逆に20~40代のバリバリやっているような方達は、大きいリフォーム屋さんに行けば良いと思うんです。地元感を出すためにも、カラーではなくあえて白黒のチラシを使ってるんですよ。

鶴見さいわい店のオーナーさんは、リフォームを営業するために立派な冊子を作っています。
こんなものを渡されたら、「ああ、ちゃんとしたリフォーム会社なんだ」って、お客さんは信用するじゃないですか(笑) もちろん、大手のリフォーム会社と比べられることも多々ありますが、それはより売上を潤沢にするためであって、本業は張り替えなのでそれだけでも食っていけるんです。だから、必死に大手と競合する必要もないんです。

どの店舗で聞いてもそうなのですが、お客さんの年齢層は、やっぱり70~80代ですか。

そうですね。最低でも、60代がメインです。その年代じゃないと張り替えをしないんではないかと思うんですよ。
もちろん30~40代の方からも電話がかかってきますし
でも、いまの20~40代の方が住んでいる家って、そもそも和室が無いんですよ。
和室がたくさんある家には、必然的に高齢者が住んでいる……単純にそれだと思います。何十年もその家に住んでいたら当然襖だってボロボロなので
30~40代の方の家の襖(ふすま)なんてたぶんまだ綺麗なんですよね。30代で一軒家を作ったとしても、せいぜい6畳ぐらいの小さい和室が1部屋あるかないか。しかもあんまり使わない。使わなければ、汚れも気になりませんからね。

エリアによって、商売の違いはあると思いますか?

当然、そこはあると思います
金沢屋では、1人のオーナーにつき約5万戸相当のエリアを与えられています。マンションがメインだったり、家が密集していればすごく狭い範囲になりますし、家がぽつぽつある地域は範囲が広くなります。
ちなみに、僕は後者のタイプ。仙台北エリアまで入っているので。ただ、マンションがメインのエリアだと和室はほぼ無いので、そういうエリアのオーナーさんは頑張っているんだろうなと思います。

先ほど話した、鶴見さいわい店のオーナーさんは、マンション密集地帯でやっていらっしゃる方で。和室は少ないのかも知れないけど、ご自身の工夫でリフォームをたくさん受注して、ときには地域のマンションまるごと1棟分の大規模修繕を受注されることもあるようです
そういう方もいるので、一概に地域差があるとは言えません。結局精神論ですが、本人次第かもしれません。

ただ、エリアによって売るものを変えた方が良いとは思います。マンションメインだったら襖(ふすま)は難しいので、網戸を売り出した方が良いでしょうし……やりようによって変わってくると思います。

御社が抱えている仙台北のエリアは、けっこう広いですね?

そうですね、広いですよね。この辺は本当に田舎で、田んぼを持っている農家さんがポツポツあるくらい
エリアは広くても、家の数は少ないんです。そのぶん家が大きくて、1軒の中にある襖の枚数がすごく多いんです。
なので、こういう大きい家から仕事が取れれば、1件あたり数十万の仕事になることもあります。

今までで一番多い枚数ってどれくらいですか?

今までで一番多かったのは襖40枚とか……それも農家さんでした。
昔ながらの和室続きの、殿様が住んでいたような家でしたね(笑)
そのときは、車に積めるだけ積んで、2往復しましたね。

その時は、てんやわんやしませんでしたか?

そんな技術もないくせに「2日で出来ますよ」とか言ってしまうと、もう地獄みたいな2日間になりますけど、「これだけの枚数があると、3~4日いただかないと……」という風に言えれば、なんてことないですけどね。
東北の冬は寒いので、襖の代わりに断熱性能があるものを置いていきます。
通常は「プラダン」というプラスチック製の段ボールを使うことが多いのですが、僕は「スタイロフォーム」という断熱材を使っています。そうやって、お客さんが寒くないようにしておきますね。

東北は寒いですからね。ちなみに、地域性ってありますか? 襖でも障子でも。

東北と、関東・関西を比べると、違いはあるのかもしれませんね。担当しているエリアの中では、地域性を感じることは少ないです。
ただ、仙台は全国のいろんな襖が集まっているみたいで、タイプがいろいろ。
関西・沖縄に多い、「板襖(いたぶすま)」だったり、中が空洞になって桟(さん)が入っている軽いものもあります。

叔父様から引き継いだということですが、その時点で、金沢屋を継ぐことは決めていたんですか?

五分五分でしたね……もともと独立願望が強かったわけではないのですが、飲食業を長くやっていたので、飲食店でいつか店を持ちたいなという気持ちはどこかでありました。
ただ、飲食業を辞めると決めた時点では、就職してサラリーマンとしてやっていこうという気持ちが強かったです。
ハウスメーカーとか営業とか、いろんな会社の採用試験を受けましたし、ひととおり内定ももらいました。
金沢屋については、叔父から話を受けてはじめて、「俺が金沢屋として、個人事業主をやる選択肢もあるんだ」と気づきました。
そのころには、自分の中ではやりたいって気持ちが強かったです。現にやって成功している例が身近にいたので、大丈夫だろうなとも思いましたし、サポートもしてくれるだろうと。

すでに、成功しているモデルケースがあったと。

僕が求めているものが全てあったような気がしたんです。もちろん不安は強いですし、今でも毎日不安なんですけど。それ以上にメリットの方が多く感じました。
実際にどんなもんか確認するために、本部に連絡を取って、東京で説明会を聴いて……。
担当の人と何度も話していくうちに、「これはやろう」と確信をもったので、すぐに契約しました。

ただ、僕の場合は叔父からも話を聞いているので、同じ話を2回聞いたようなものなんですよね……
だから、説明会は本部の人に挨拶に行く、という感覚でしたし。いろんな書類を2~3時間かけて説明してもらいましたけど、ほぼ知っている知識でしたし(笑)

少し特殊ですね。他のオーナーさんたちも、やりたいという気持ちが当初から強いようですが、どうしてそんな方が多いんだと思いますか。

そうかもしれないですね。なぜだろう……身近に成功事例があるからですかね。
本部のFC募集の広告を見ると、「これはやっていけるんじゃないか?」って思える内容なんですよ。
我々が出すチラシってほとんど本部がデザインしたレイアウトなんですけど、それも上手。そういう部分もあると思います。

本部とのコミュニケーションですが、どういう時にやりとりをされるんでしょうか?

開業して半年~1年ぐらいは、わからないことがあれば都度SVの方に電話して、「こういうケースはどうしたら良いか?」と逐一教えてもらっていました。最初はどうしても不安なので、教えて欲しいんですよ。研修で教わることなんて、「基本のキ」なので。
ただ、どんどん慣れてくるので、1年近く経ってくると、ある程度のことは自分で解決できるようになりますから、本部とのやりとりは格段に少なくなります。
いまは、本部から業務連絡が来るけど、こちらから本部にコンタクトを取ることはほとんど無いですね。

研修を受けて一年後には、ひととおり作業できるようになるものなんでしょうか?もともとは畑違いの飲食業です。

そうですね。技術に関しては練習あるのみですから、業界の違いはあまり関係がないと思います。
技術面に関しては、今でも不安ですし、自信を持っているわけでもないですが。
飲食業のときは、10坪ぐらいの小さなお店で、目の前のお客さんと話しながら調理してたんです。そのおかげで、だれかと会話することに対しては抵抗がゼロで、ガンガン話していきたいタイプ
それが今になって、お客さんの家でも会話が止まらないし、なんの不安もなく、自然とすんなり入れました。

実務上でいちばん困ったことはありますか?

いろいろありますけど……たとえば、障子とか建具の中にもぐって木を食べている虫がいて、そんな虫が出てきたりとか。
あと、襖(ふすま)を剥がしてみたら中の骨がボロボロで、張り替えどころじゃなかったとか。
でもそれは、お客さんに説明して「これなら新品に変えたほうが良いんじゃないですか?」って提案をすれば良いだけなので、困ったうちにはいらないような(笑)
細かいことはありますが、「いや困った、どうしよう!」ということは……とくに思いつかないですね。

まだ1年も経っていないので、そんなケースに出くわしていないだけかもしれません。知らなくても、ネットで検索すればある程度のやり方は出てきますしね。

あ、でも、網戸に関しては、ちょっとありました。昔のタイプの網戸って、ゴムじゃなくてパッキンで網を抑えてあるんです。そのパッキンは今では手に入らないので、ゴムで代用するしかないのですが、ゴムだと幅の問題でユルユルになってしまうんですよ。

このケースは、解決できたんですか?

はい、それはやり方を見つけました。金沢屋の良い所って、他のフランチャイズと違って、日本全国のオーナーさんの仲が良いってことなんです。
エリアが完全に分かれているので、競争する事がまずないですから。だから、わからない事があったら、なんでもみんなが教えてくれるんですよ。
このゴムのケースだと、オーナーさんが集まっているLINEグループで解決策を聞きました。そうすると、ベテランオーナーさんが「最初に細いゴムを敷いた上に、太いゴムをねじ込めば固定されてうまくいくよ」と、教えてくれて事なきを得ました。
なので、なにか問題が起きてもみんなに聞くと解決できるんです。
だから「いやぁこれは困った」っていうレベルの問題ってなかなか起きないんですよ。本当にLINEさまさまで(笑)

助けてくれる方達がいることは心強いですね。金沢屋のお仕事は未経験の方でもできるのでしょうか?

いや、できちゃうと思います(笑)
でも実は、研修と、本部からのSV支援で勉強できることって、全体の1割にも満たないんです。

そして、実際に仕事を請け負ってみると、お客様の家ごとに全然ちがったケースに出くわすわけです。
大きさも違えば、枠が割れていたり……一通りのケースに出会うのが半年、それを全部吸収して仕事をこなせるようになるには、1年近くかかるんじゃないでしょうか。
ただ、さっきも言った通り、オーナーさんが集まるLINEグループで質問すれば知恵を貸してくれるので、ほとんどの問題は解決できます。

いろいろなオーナーさんに話を伺っているのですが、あまり網戸の話が出ません。網戸は少ないのでしょうか。

時期的な問題じゃないでしょうか。夏に聞いてみてくださいよ。絶対網戸の方が多いですから。北海道なんか網戸王国なので、網戸だけで月に100万円ぐらい稼ぎますよ。どうしてだかは忘れちゃいましたけど(笑)
ただ北海道の場合は、普通の網戸を張ってしまうと、冬の寒さで凍ったり、氷柱が落ちてきた時に刺さって破れたりするので、普通の網戸は通用しないらしいです。

将来設計はどのようにお考えですか?

エリアを拡大して対応させていただくお客様を増やしていきたいですね。

いまの段階で、ご自身の課題ってなにかありますか?

やはり技術の向上ですね。
やればやるほど奥が深い仕事なので。
質が高い仕事で、もっと早く。永遠のテーマです(笑)

今日は、「チラシの構成を考える日」ということでしたが、販促ツールもご自分で考えられているのでしょうか?

レイアウトなどは、本部からもらいます。ベースはすごく良いですよ。
ただ、それにもっと言いたいことがあるだとか、変えたい部分があれば、印刷屋に直接変更の依頼をしています。
あと、折り込みチラシと、ポスティングチラシのレイアウトを同じにするのは良くないんですよ。書いてあることは一緒でも、まったく同じものにしないことが大事です。反応が違うので。
金沢屋のチラシには、裏面に視力検査のデザインがあるのですが、ポスティング用のチラシではそれを無くしたりだとか。視力検査の折り込みチラシで認知度を上げておいて、「視力検査でおなじみの金沢屋です~」というふうにポスティングチラシには書いておく。中身はほぼ一緒なんですけど、印象は違ってきます。

技術的に工夫していることや、注意していることはありますか?

そうですね……網戸には「中桟(なかざん)」といって、網戸の上下を区切っている部分があるのですが、それが無い網戸もまれにあります。その場合、すごく注意して網を張らないと、フレームが沿ってしまうので、相当気を遣っています。気になれば、10回でも20回でもやり直します。
技術的には難しいものになりますね。

これまでに、大きなミスをしたことは?

年末の繁忙期にスケジュールを詰め過ぎて納品が遅れてしまったことです。

長時間お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

店舗詳細

金沢屋 仙台北店
宮城県仙台市泉区南光台

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