襖・障子・網戸の張替専門の店舗運営を行う現役金沢屋オーナーに金沢屋を選んだ理由をインタビュー

金沢屋 宇部ときわ店

山口県宇部市亀浦
2015年12月 開業

インタビュー時期:2020年1月

金沢屋を始められる前のお仕事を教えてください。

前職は東京で、教育出版社で学習参考書の編集をしていました。
編集部に所属して、私は大学の専攻が化学だったので化学の参考書や問題集などの編集を担当していました。

全くの異業種で前職とは関係のない金沢屋の仕事を始められたきっかけはなんだったのでしょうか。

出版業界だと勤務地が主に東京に限られてしまうというのがありました。
このまま1人で東京に暮らすというよりは、地元に帰ってきて何か出来ないかなという気持ちがあったというのと、出版業界に限った話ではないかもしれませんが、プライベートと仕事がゴチャゴチャになっているというか…
プライベートの時間まで削るくらいでやらないと良い仕事は出来ないというような、そういう文化がある仕事だったので、いつまでもずっと東京に1人で勤め続けていられるのかなということを考えていました。

それで、いろいろ新しい仕事を探っていたんです。

地元に戻ってサラリーマンをやろうかとも考えていました。地元の合同会社説明会に参加して何社も説明を聞いたりしましたね。そこで、もし就職するのであれば、この業種かなという候補は立てていました。

父親が建築関係の仕事をしていて、こういう内装関係の仕事も全く縁が無かったわけじゃないので、「こういうのが(金沢屋)あるから一緒に開業してみないか?」という誘いがあったのもひとつのきっかけですね。

そこでサラリーマンと自営業を天秤にかけてみて、自分で開業した方がいいと結論を出しました。

就職してサラリーマンとして勤めるのもいいかもしれませんが、最初は大変かもしれないけど自分で開業した方が絶対幸せな人生を築けるんじゃないかと思ったから踏み切ったという感じでしたね。

お父さんからの誘いがあったということは、一緒に開業されたのでしょうか。

そうです。
スタートのときは父親と一緒に開業したんですよ。当時は2人で一緒にやっていたんですけど、今はもう私が代表として取り仕切っています。父親は時々障子の張り替えを手伝ってくれるというくらいに、半分身を引いている感じでやっていますね。

最近では、弟もスタッフとして加わっており、私・弟・父の三人で対応しています。

金沢屋はフランチャイズですが、ほかのフランチャイズを調べたりはしましたか。

多少はしました。
全国チェーンのお弁当屋さんの説明会を聞いたりしたのですが、初期投資など諸経費がかなりかかることが難点でした。

その他だと掃除のフランチャイズとかですかね。

ただ、一番大きいのは父親が建築関係であったことで全く縁遠い世界ではなかったこと、ふすま・障子・網戸の張替が隙間産業で需要が見込めそうだと感じて決めました。

開業されたのはいつ頃でしょうか。

2015年11月に説明会を受けて12月に開業して現在5年目です。

開業当初の反響はいかがでしたか。

金沢屋宇部ときわ店画像

反響は割と良かったですね。チラシを撒いてさばくのが大変なくらい電話がかかってきました笑

ただ、当時は自分の技術が伴っておらず、悪いとは言わないものの今となっては納得のいかない出来で納品せざるを得ない状況というのがしばらく続いてしまいました。 繁忙期である12月だったので、そこの時期はチラシを撒くなど、手を止めるわけにはいかなかったので、そこはなんとか乗り切ったんですけど。

年が明けて3ヶ月くらいは「こんなんじゃ商売してはならない」と思い、あえてチラシを撒かないで、ひたすら練習ばかりして、どうしてこういう失敗が起こるのかなどを検証しながら仕事がひと段落する3月くらいの時期はとにかく自分の腕に自信が付くまでとにかく練習するという期間を設けました。

そこで技術が伴ったと実感できた4月に入ってから、納得のいく状態でお客様に納品出来るようになって、自信を持って仕事が出来るようなったので重要な三か月間だったと考えています。

3か月の特訓を重ね、4月にリスタートして、商売として軌道に乗るまで、どれくらいの期間がかかりましたか。

初めて月商100万円を超えたのが、その年の6月でした。
12月は開業当初で、1~3月は技術向上に取り組んで、実質的な営業月数は4か月目で100万円を超えることができました。

ただ、技術は改善されましたが、4・5月については商品知識や提案力がまだまだだったので、良い商品を案内することもあまりできずに売上が伸び悩んでいました。
それに対して、定期的に開催されているエリア会議などに参加して「あ、自分のこういうやり方がまずかったんだ」というところを改善していったらダイレクトに売上に影響していきました。とはいえ、6月は畳の売上も含めて100万円をかろうじて超えたというのが実情ですが笑

金沢屋はふすま・障子・網戸のイメージが強いですが、2016年当時から畳を取り扱っていたのですか。

はい、開業の時期から畳屋さんと提携してニーズのあるお客様に畳屋さんを紹介する形をとっていました。

担当されているエリアの特徴を教えてください。

2つのエリアを受け持っていまして、宇部市内と山口市を担当しています。

結構広いですね。
一番遠いところだと、片道40キロくらいあります。ただ、このあたりですと山口宇部道路で無料の高速道路があるので、そこまで時間はかかりませんけどね。

あと、宇部市は良いのですが、山口市の方が正直チラシの反響は良くはありません。
ですが、全体的に考えれば比較的反響は良いとは感じています。

具体的には、2~3万部の折込チラシを出して30件くらいはコンスタントにお問い合わせをいただいています。

2016年6月から軌道に乗ったとのことですが、それ以降からは安定されましたか。

そうですね。そこから緩やかに伸びていくようになっていきました。

ただ、最近のオーナーさんによっては、開業して間もない方でも物凄い勢いで売上を上げているオーナーさんもいらっしゃるので頑張らないとなあと思っています。

リフォームのお話について教えてください。

仕事の多くは張替で本業としてはとても順調です。ただリフォームについてはなかなか苦戦しています。ですが、お客様のお困りごとに広くお応えできるようにしていきたいと考えているので、これからも色々と勉強しながら、私たちに合ったリフォーム業者さんを見つけて業務の幅を広げていきたいですね。

集客について教えてください。

折込チラシを毎月2~3万部は出しています。
一定のペースで撒かないといけないと考えていますが、どんなに少なくとも2万部は撒くようにしていますね。

例年より電話がかかって来なかったりした際には、通常よりも多く出すこともあります。
ただ、そうなる前にリピーターさんからお電話を頂いたり、ご紹介いただいたりすることも多いので、3万部を超えて出すことはあまりありませんね。

でも、特別な事はやってはいないと思いますよ。チラシを一定のペースで撒いて、あんまり反響が良くなかったらチラシのデザインを見直したりという最低限のことはやっていますけど。

最近の出来事で言えば、去年は1つのデザインで宇部市内も山口市内もまとめて撒いていたんです。でも、それだと山口市内の反響が物凄く悪くなったので、宇部市用と山口市用の2つに分けたんです。

宇部市用が私メインで弟がサブみたいな感じにして、山口市用はその逆で。

あとチラシも阿知須(あじす)という、ちょうど中間地点の地名を出して「あ、ウチのエリアにも対応してくれているんだな」というのをより強く出したり、あとは「クレジットカート使えますよ」などですね。

その他だと、過去にポスティングを中心にやっていた時期がありましたが、全く反響がなかったんです。ですので、折込み以外はやっていません。

技術的な面で工夫されていることを教えてください。

金沢屋宇部ときわ店画像02

襖を例にすると、必ず気を付けているのは、張る時に中の空気を必ずしっかり押し出しながら張るというのを徹底しています。
この地域は湿気の多い土地も結構あるので、空気を含ませたまま張ってしまうと納品の時は良くても日数が経ったら皺がいっぱい出てきて「なんか皺が出てきたんだけど」とご指摘を受けることがあったんです。

そうならないように張る時にしっかり空気を押し出す。
クロス用の刷毛とかを使って中をしっかり押し出して張るようにしています。そこから「後からシワが出てきたんだけど」という事が起きづらくなりました。

お客様とのやり取りの中で注意・工夫されていることを教えてください。

やはり商品説明をしっかりやっていますね。
多くのお客様は標準的なグレードを選んでくださることが多いのですが、ご存じないこともありますから、商品の特性・性質なども丁寧に説明しています。

商品知識については、エリア会議なども必ず参加して色々情報収集をしたり、あと金沢屋のLINEなどで時々そういう情報を書き込んでくれるオーナーさんもいらっしゃるので、必ずチェックしています。

あとは、気になる事があったらインターネットで調べたりして…自分の身の回りにある情報は必ずチェックするという感じで勉強し続けています。

それ以外では何よりお客様のニーズに合わせないと、というはありますよね。例えば「すぐに子供が破いて駄目にするからそんなに(お金を)かけたくないんだ」というお客様の場合は、いくら品質の良さを説明してもそれは押し売りになりますし。

失敗事例はありますか。

やはり1番の失敗は2015年12月の開業ですね。
あの時は自分の腕に全く自信も無いのに「襖の張り替えやってます!」みたいな感じで始めてしまいましたから、お金をいただく以上はプロなわけで。

今となっての後日談ですが、開業時は本当に大変でした。

加盟して良かったことと、生活や収入面での変化はありましたか。

お客様の笑顔を直接見る事が出来る、お客様に喜んでもらえる仕事が出来ているという、そこが一番ですね。
もちろんある程度の売上を上げないと経営が成り立たないから売上を上げないといけないのは当然なんですけど、値段関係なく仕上がりを見てくださって「良いのが出来たね」と喜んでくださる事は売上以上にやりがいを感じます。

そういうところが加盟して良かった事ですね。こんなにやりがいのある仕事に出会わせてくれて本当に感謝しています。

収入の面では自分が努力すればするほどどんどん良くなるじゃないですか。
収入をサラリーマンの頃より良くする・悪くするというのは自分次第ですしね。何よりも組織の中で縛られずに自由に色々自分で出来るようになった事が大きな変化だと思います。

余暇はどのように過ごしていますか。

旅行に行くのが好きなんです。
私は日曜日しか休んでいないので、普段は営業車用の給油をしたりとかそういう時間外でやることもあるので案外趣味に時間が取れないんですけどね。

1月2月とかで仕事が落ち着く時期だったら、まとめて休みを取って旅行に行ったりしていますね。今年の正月は高知県に3泊4日くらいで旅行して、高知県にターゲットを絞って高知県内をくまなく観光したりとか。地域の特色とか、その土地柄を味わいたい、体感したいというのが1つの大きな趣味なんです。

ただ、繁忙期の稼ぐべき時に稼げていなかったらちょっと話は別ですけどね笑
今年は目標の売上が達成出来たから自分へのご褒美で行くことができました。

どんな方が金沢屋の仕事に向いていると思いますか。

私としては、安い商品で「安く仕上がって良かったね」と、そこで満足してもらっても全然嬉しくないんですよね笑
そうではなく上質な物で「やっぱり本物は違うね」というのを体感して欲しいなという気持ちの方が強いです。

やっぱりそういう意識を持てるかどうかがが、金沢屋として長く続けられるかどうかの重要なファクターじゃないのかなと思う事はあります。

とにかく自分が品質の良さをちゃんと実感として理解していて、その実感をお客様に伝える事が出来る。
やっぱり一番向いているのは、そういう品質の良い物をきちんとお客様に伝えたいという意志をずっと持ち続けられる人じゃないかと思います。

今感じている課題を教えてください。

やはり商売なので今よりも売上を上げる収益構造を考えるという事ですね。
先程リフォームについても話しましたが、収益構造を考える上でリフォームをコンスタントに取り扱えるようになることが必要不可欠だなと思うので、その体制づくりが今一番やらなければいけないことだと感じています。

今後の目標を教えてください。

とにかく自分が年を取るまでずっとこの仕事を続けていきたいという気持ちが一番強いです。
ですから、そのためにも現状維持のままでは下がってくるだけなので、少しずつ改善出来る所は見つけながら成長させていきたいです。

そんな劇的じゃなくても良いから少しずつ進歩出来る所を進歩させていって、30年後もこの仕事をやっていたいな、と考えています。

長時間お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

店舗詳細

金沢屋 宇部ときわ店
山口県宇部市亀浦

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